2012年3月22日木曜日

素粒子が実現する革新的レントゲン写真

なる講座を聞いてのう。


この講座は、三鷹ネットワーク大学の科学宅配塾講座として催されておるシリーズの一つにして、今回の講師は、永嶺謙忠氏。素粒子なかでもミュオン粒子のスペシャリストなのだそうな。

科学宅配塾講座は、此度が初めてなれど、”素粒子のレントゲン写真”とはいかなるものかと興味を抱いた次第。出席者は年配の方が多く、そこかしこに科学の因縁を持った雰囲気を感ずるのも心地良かろう。

さて、ミュオンであるが、身共らが物理を習うた過去においては、中性子と陽子までは良いとして、その先の素粒子については、なんとも不明確な心許無い概念の域を超えぬものであったと記憶する。

それが、カミオカンデに代表される大活躍や数多の所業により、ニュートリノやミュオン、タウ粒子なぞという素粒子が続々と現実世界のものとして認知されてきたのは、改めて物理の力の偉大さとも思えよう。

さてそのミュオンなんであるが、多くは陽子が大気にぶつかったときに生成され、その寿命は2.2μsなのだそうな。無論、寿命は、元のエネルギーによって変わるんであろうが、素粒子の中では中性子の898sに次いで長寿命なれば、使い道にも恵まれようとは。

その使い道は、透過力が高い放射線源として何でも透過するラジオグラフィー。
一.宇宙線として高炉の中を抜けてくるミュオンを利用した内部解析。
一.火山やピラミッド等の内部構造の解析。
一.原子炉の内部構造、とりわけ燃料棒のメルトダウンの様子の解析。

なぞができるそうな。
水平に近い宇宙線を観測するなら、様々な構造物、建造物、自然の様相をかなり正確に入手できるのだとなれば、物理学の偉大さを改めて感ざるを得まい。

今後は、加速器を使うて、スポットライトの如き装置を作り、海溝、火山等々の様々な自然に起きる地殻変動等の様子を監視できるようにするのが夢だそうな。
地球を貫通させるには、加速器で作り出せるエネルギーは、未だ足りぬそうだが、その前に、いっぺん自然のミュオンを使うて測ってみたら良さげに感ずるのう。存外、中身は中空や綿菓子の様であるやも知れぬ。で、あったなら、大発見間違い無しであろう。

非常に魅惑的な話で、今後もシリーズ化されると嬉しいのう。
めでとし、めでとし。


*.検出方法:
・検出器は、プラスチックシンチレータを2枚合わせただけの簡単なもの。
・2枚のプラスチックシンチレータはマトリクス化されており、通過点から、方向を算出。
・ミュオン以外の放射線は、複数の粒子に分裂するので、1対多の検出粒子は全てバックグランドとして補償。

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