2011年12月21日水曜日

電子管の歴史[エレクトロニクスの生い立ち]

なる本を読んでのう。
編纂は、日本電子機械工業会 電子管史研究会 に拠るもの。

A4ハードカバーの物々しさとは裏腹に表表紙にも裏表紙にも何も記載の無い奥ゆかしいいでたち。
なれど、内容は、電子管の誕生から始まり、マイクロ波管、放電管、ブラウン管、フォトマル管、X線管..と凡そ電子管として存在する管球の歴史を網羅しているといっても良いほどの力作でのう。
力作ではあるが、身共が興味を持った対象はX線管と電子管材料および真空技術についてであって、この力作本の一握りの部分であるのが、編纂者には少々申し訳ない思いも抱こう。
1800年代末期から1900年代初頭に掛けて始まったX線管の歴史は、その後50年にしてほぼ完成形に至り、現代に至るまで革新と呼べるような技術革新は起きてはおらぬ。比較的最近には、ナノカーボンを用いた電界放出型等のトライアルが行われてはおるが、未だ実用には至っておらぬ状況。そろそろ、根本から替わった形が出てきても良さげではあるが、少なくとも10数kV、果ては数百kVの高電圧を印加せねばならぬ状況において多くの技術革新を支えた半導体ですら、X線管に至っては荷が勝とう。
せめて、もう少し異なる方法があればとは思うのだが、未だ未だ職人技が必要とされる領域であろうかのう。

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